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全世界株と米国株の両方で分散投資?

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全世界株と米国株の両方で分散投資?

インデックス投資していくには、多くの商品がありますがその代表的なものの例が全世界株式と米国株式です。どちらが良いか?かなり悩まれることがあるかと思います。ここ10年程度だと全世界株式よりも米国株式の方が良いパフォーマンスだったため、米国株が1番だという意見もあれば、いやいや全世界でしょといった意見もあります。他にも、片方に決められないから両方で分散投資だと考えることもあると思います。

当記事では、全世界か米国か迷われている方向けに両者の違いと組み合わせるとどうなるのかという点について紹介していきます。

こんな方におすすめ

  • 全世界と米国どっちが良いかわからない
  • 両方買って分散投資したい
  • 今は米国だけど売らずに全世界へ変える方法はないの?
  • 両方持ってるけど片方にした方が良い?

全世界と米国株の違い

全世界と米国を地域別にみてみる

全世界株式と米国株式を地域別にみてみましょう。なお、当記事では米国株式についてはS&P500を使っていきたいと思います。また、為替はドルベースで見ていきたいと思います。

まずは全世界株式ですが、全世界株式といっても約6割程度は米国に投資していることがわかります。なお、この割合はここ近年の割合です。米国以外の時価総額の割合が上がってくれば当然全世界に占める米国の割合は低くなっていきます。米国の動きだけでなく、世界の時価総額の動きに合わせて投資していきたいという方針だと全世界が適していると言えそうです。世界の成長に合わせて自分の資産も成長していくというイメージに近いでしょうか。アセットアローケーション理論では全世界に投資すべきという意見が出ています。

米国株式はもちろん全て米国にウェイトを当てることになります。投資の神様ことウォーレン・バフェットも遺言には資産の9割をS&P500に投資せよという遺言をしています。そういったことからS&P500が最適解であるという意見もあります。世界の時価総額上位に占める企業は米国であるからこそ米国株式を選んでいる方もいるのではないでしょうか。確かに、先進国の中では珍しく人口増加の国ですし、軍事力も世界一、経済も世界一です。

全世界と米国をパフォーマンス別にみてみる

全世界株式と米国株式どう違ってくるのか。まずはこれまでのパフォーマンス別で見てみましょう。以下の図は2009年から近年のコロナショックを経て、米国の金利上昇から下落局面に入っているところです。この期間だとS&P500(米国)の方が良いパフォーマンスを出していることがわかります。

リーマンショック後のあたりに期間を当ててみると、S&P500(米国)よりも全世界の方が良いパフォーマンスを上げていることがわかります。(下図)リーマンショック後の回復は、先進国よりも新興国の方が回復が早かったためです。全世界には新興国も含まれているのでその部分が恩恵を受けて成長していったといった流れです。

つまり、米国株だけがずっと好調というわけではなく、好調だった時期があったということになります。となると、今後も米国株の成長が鈍化し、新興国などの米国以外の方が良い時期も出てくる可能性があることが過去の状況から見てとれます。

迷うなら全世界と米国を両方買って分散投資

結局、どちらが良いかわからないから全世界株式と米国株式を両方買ってしまえば良いのではないか?その方がより分散投資になるのではないか?

では、全世界と米国を両方買った場合どうなっていくのか検証していきます。

全世界と米国を1:1の割合で購入した場合

全世界と米国株を1:1の割合で購入した場合、国別で見てみるとどのような結果になるでしょうか?ここでは米国と米国以外の2つで分類してみることとします。

全世界株式と米国株式をそれぞれ買うことで分散投資ができていると思っていたはずですが、ポートフォリオ全体で見てみると、米国に対する割合が増えていることがわかります。つまり、全世界株式を単体で保有する時よりも米国株式の影響を受けるということになります。

続いて、全世界株式の方を多めに買ってみた場合をみてみましょう。全世界株式の内訳の約6割は米国を占めていることから、全世界単体で持つ時よりも米国以外の割合が低くなってしまう結果となっています。このようにそれぞれを両方持てば分散になると思いきや、あまり分散とは言えないような結果になってしまいました。

全世界または米国を売って片方にすべきか

これまで全世界株式を運用してきたが、今後は米国株式にしていきたい。これまで米国株式を運用してきたが、今後は全世界株式にしていきたい。そういった場合はどうしたら良いのでしょうか。

NISAで運用中のものはそのまま

NISAで運用しているものについては売却をせずにそのままにしておくべきでしょう。なぜなら、売却をしてしまうことで、非課税枠を放棄することになるからです。現状のNISAについてはそのままにしておき、今後の買うものを全世界株式もしくは米国株式へ決めていくと良いでしょう。非課税で運用しているものはできるだけ長く非課税期間を継続することが重要となってきます。全世界株式も米国株式も大まかにみてみれば似た動きをするものなので極度に気にする必要はありません。

米国(S&P500)と米国を除く全世界を組み合わせる

現在、米国株式を運用してきて、これから全世界へと方針を変えていきたいという方には、追加で別のものを買うことで全世界と同じような割合で保有することができます。「VXUS(米国を除く全世界)」というものもあるので、「米国株式と米国を除く全世界の組み合わせ」、つまり「全世界」として運用することができます。

なお、参考程度ですが、2022年に入ってからの全世界株式、米国を除く全世界株式、S&P500の3つについてのパフォーマンスをご紹介します。

これをみると、下落相場のはじめは米国から先行して下落していることがわかります。その後、5月以降の上昇も米国よりも米国以外の方が上昇していることも読み取れます。2022年から発生した下落相場は、米国の利上げによる影響が大きいです。この下落相場においても、米国よりも米国以外の方がパフォーマンスが良かった場面もあり、全世界株式に投資することはその都度の良い部分を取っていこうという戦略になりそうです。

まとめ

全世界株式か米国株式かどちらが良いのかという点については、人それぞれの答えになってきます。迷ったから、全世界株式と米国株式両方買って分散投資だと考えたものの、実は米国株寄りになってしまうという結果にもなりました。持っているものはそれぞれ「全世界株式」、「米国株式」ではありますが、持っている運用資産全体から見てみると、米国の割合が高いということです。

投資において大切なことは長く続けることです。全世界株式にしても、米国株式にしても、ベストな選択でなかったとしてもベターな選択はできています。時期によって米国の調子が良かったり悪かったりもしますし、これまで見てきた内容はあくまでも過去のデータになります。今後のことについてはわからないというのが投資です。リスクを伴うからこそ増えていく可能性のあるものです。途中で振り落とされないためには、なんのためにやるのか明確にしておくと良いでしょう。そうすることで目先の値動きに対して冷静に対処できるようになるはずです。

全世界株式と米国株式については以下の記事でも解説しています。合わせてご覧ください。

新NISAを「米国株」のみか「全世界」にするか

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